12月30日、夕刻の東京駅。年の瀬のこんな時間に東京駅にやって来た目的は、ずばり、北陸新幹線が初めて経験する帰省ラッシュを自らもこの目で確かめたいと思ったからです。
今回の乗車は、東京駅を19:24に発車するかがやき517号。
こちらは、発車1時間前の空席状況ですが8割以上が予約済み。
ちなみに、これの1本前のはくたか、普通車、グリーン車共にすべて完売。
富山、金沢両駅の到着時刻が決して良い時間帯ではない中でのこの予約率、EW7系を12両編成にしておいた面目躍如です!
それにしても、とんでもない改札の混雑ぶりです。
いざ、ホームへ。かがやきの4分先に先行するのは、3ヶ月後、北陸新幹線をおびやかすかもしれない、あの「はやぶさ」。
おとなりには、去年までの帰省ラッシュ時のはくたかのお供、maxが。自由席でも、輸送力を持て余し気味です。
発車15分前、折り返しとなる富山方面からのかがやきがやってきました。MAX、EH5系を向こうに回しての堂々の登場ぶり。
間髪入れずに7ミニッツマジックが始まります。
さすが帰省ラッシュです。通常の週末とは列の厚さが違います。
お隣の「はやぶさ」が出発した後も、掃除は終わりません。まさにギリギリの戦いです。
「はやぶさ」が出発した後のホーム横には、元祖新幹線、のぞみ大阪行きが。かがやきの「大阪行き」が設定されるのはいつのことやら。
19:24 定刻通りに東京駅を出発。車両に乗り込んでからわずか2分後の発車。お隣には、次の盛岡行きのはやぶさが入れ替わりに到着。神業で多量のトラフィックを捌いている様子が分かります。
25分後、大宮駅に。
北陸新幹線の新横浜駅としてのポジションは帰省ラッシュ時も健在。さらなる乗客が、かがやきへと吸い込まれていきます。
2号車は乗車率9割に。
1号車に至っては、本当に満席となりました!
80分後、長野駅に到着。
3分の1程度が下車。今や、長野に向かう新幹線と言ったら「あさま」と同じくらいに「かがやき」のイメージが大きくなりつつあります。
もちろん、長野駅ホームではお約束、車掌交代の儀。いつも、ドアから出てくる東の車掌氏を、西の車掌氏が直立不動で待っています。
長野駅を出発後、乗車していた1号車にやっとワゴン販売が来ました。グランクラスを除く10車両を回るのに80分もかかるとは、このかがやきの混雑ぶりが伺えます。
長野駅を出発して25分後、糸魚川駅通過。在来線の白山時代は長野から直江津までの間ですら特急で1時間程度かかっていた記憶があります。未だに、この新幹線の時間感覚についていけません。
富山駅到着3分前、お馴染みのこの表記。3月14日以来、いつ見てもこの表記はいいですね。
長野駅を出てから45分後、富山駅のホームに降り立ちました。あまりの人の多さにエスカレーターに乗るのも一苦労です。
富山駅コンコースも出迎えの人だかりが。夜の10時近くでこの賑わいは、今までの富山駅ではなかったことです。
ますの寿司でお馴染みの源の社長が、新幹線開通で一番変化があったことは「夜の8時を過ぎても弁当の販売量が落ちなくなったこと。」とコメントしていましたが、確かに、北陸新幹線によって富山駅周辺の夜の人だかりが在来線時代よりも明らかに多くなっています。
新幹線による意外な効果の一つです。
市電横の整備もさらに進み、悪評高かった工事用金網もようやく撤去され、なんとか観光客のみなさんにお見せ出来るようになった富山駅前。
冬の澄んだ空気の中にたたずむ富山駅も、春夏のそれとは異なる表情を見せています。
初の帰省ラッシュを迎えた北陸新幹線に乗って感じたことは、とにかく過労度が少なかったことです。
昨年も同じ時期、同じ時間帯の「はくたか」を利用して帰省ラッシュの中富山に向かいましたが、混雑した東京駅に加えて、積載感がMAXだったMAXとき、さらには越後湯沢ダッシュに続き、最後は立席者続出のホワイトウィングはくたかと、これでもかと旅行者の心を疲弊させるメニューが満載。
ところが、EW7系は余裕の長編成、MAXやホワイトウィングに比べて座席幅も広く、さらには全席指定ということもあって立席者もなく、車内にはゆったりとした雰囲気が漂っていて、一旦東京駅を出発した後は、ストレスを感じることなく車内で過ごすことができました。
行程の折り返し地点となる長野駅では、下車客も出てきてさらに車内に余裕が出てきます。そこから、わずか45分後には富山駅のホームです。
同じ折り返し地点となっていた越後湯沢駅では、さらに混雑感が増加して、そこから2時間近くの乗車時間を要したわけですから、その差は歴然。
混雑時ほど、その価値が痛いほどわかる北陸新幹線の存在を実感した2016年の乗り納めでした。
(後日談)
(読売新聞 富山版 12月31日付 より)
この日の多くの北陸新幹線が満席だったようですね。