(C) 2016 BBC
まさかの結果に終わった、イギリスの国民投票。
ニュースによると、イギリス国内に急増した移民に対する国民感情が爆発した結果だとも。
そんな移民、最近、中心部のみならず、あいの風鉄道沿線のローカル駅にも、いわゆるインバウンドではない定住された外国の方を多く見るようになった我が富山にとって、「対岸の火事」ではないのは明らか。
さらには、全国の農協と同じように、JA富山中央会が猛烈に反対しているTPPについても、あれは農作物の貿易自由化に加えて、最終的には移民の自由化までも目的としているため、イギリスの現状は、30年後、日本の「ヨークシャー」たる北陸3県の姿である可能性も。
と、難しいことを考えていても、疲れてくるので、今回はそんなイギリスのEU離脱を、各テレビ局のニュースがどのように扱ったか比較してみました。(以下、弊ブログのテーマである「とやま」とは全く関係がないエントリーなります。)
まず、秀悦だったのが「ミヤネ屋」。予想外の離脱派の勝利宣言から数時間後の放送にも関わらず、大型パネルを用いて今回の問題を詳細に解説。
(C)ytv
司会の宮根氏は冒頭で今回の国民投票を「経済対移民の対決 」と表現。
(C)ytv
地域間の投票差についても、「スコットランド と北アイルランド はEUに払った分以上に戻ってくる。」と、わかりやすい解説。
(C)ytv
移民問題についても、具体的にグラフを使って説明したのはミヤネ屋だけ。
(C)ytv
EUが加盟国に対して押し付ける「規制」について触れていたのも、この番組だけでした。
さらに、読売テレビ解説委員の方が、
「プーチンは喜んでいる 。」
「アメリカは自由貿易協定の優先はしない。イギリスにもう一度、列に並べというだろう。」
「今度は中国がイギリスに近づいてくる。」
など、踏み込んだ意見を連発。
正直、このミヤネ屋だけで今回の出来事の多くが理解出来ました。製作局の読売テレビ、「そこまで言って委員会」にしろ「クギズケ」にしろ核心をえぐる番組を届けてくれるので、個人的には隠れたファンではあります。(「ちちんぷいぷい」や「キャスト」は地方では視聴できないので。)
お次は、みなさまのNHK、7時のニュース。ごくごくストレートな内容かと思いましたが、まさかの成田空港にいるイギリス人の「YOU」に突撃取材を試みるというゲリラ戦を実施。
(C)NHK
噂によると、朝日新聞社では夜の7時になると編集フロアーにある全てテレビで大音量でこの7時のニュースを流し、「ライバル」の動向を探ると言いますが、まさかのこのテレビ東京的アプローチにずっこけたのでは。
(C)NHK
武田アナの名誉のために付け加えておくと、他のニュースでは扱っていなかったEU各国に輸出するためイギリスに拠点を設けた中小企業の苦悩についても、しっかり触れていました。
同じNHKでも、「予算かかってるなー!」と感心させられたけど、「それで?」という内容だってのが、ニュースウォッチ9。ロンドン、ブリュッセル、アメリカから、それぞれ特派員が生出演!しかし、「それ、現地からわざわざ言うことか?」という内容ばかり。
帝都の知事殿が公金で回転寿しを愉しまれたことが問題となりましたが、同じ公金たる受信料をもっと有効に活用して頂きたいと痛感。
もちろん、独自の視点で報道もしていて、
(C)NHK
イギリスの離脱を喜ぶ、他国の「離脱派」の様子にも触れたのはニュースウォッチ9だけ。
しかし、それ以外では国際部の美人デスクである税所女史の登場以外に何の見せ場なかったという印象。
(もし、これが、前任者の大越健介氏なら、イギリスのパブからギネスを飲みながら放送というベタな演出をしたかもしれませんが、その方がまだ楽しいかも。)
そして、究極のトホホだったのが富山ケンミンの憧れ報道ステーション。
(C)tv asahi
冒頭、番組のオープニングテーマをニューヨークから生演奏。
「ん、これニュース番組だよな? 」
日本の株価にも大影響を与えた事件があった日に、わざわざやる演出ではないような。
さらには、レギュラーの女子アナまで、この日はニューヨークからご出演。肌寒いお祭り的な雰囲気を感じ取ったのはとやどこ管理人だけではなかったはず。
富山ケンミン的には、わざわざケーブルテレビを契約して、(隣県の)北陸朝日放送を見る程の必要もないかなと思いました。
しんがりは、この日もタイムライン上で「ぶれない テレ東」と評判だったテレビ東京のワールドビジネスサテライト。
各局がEU関連のニュースを流す中、安定の「午後のロードショー」と「ピカチュウ」で乗り切ったらしいですが、ワーステはひと味違う秀悦さ。(前日のワーステや、当日のモーニングサテライトでは「残留派有利!」と連呼していたのは触れないでおいて、)
冒頭は、ありそうでなかった開票所の模様からスタート。
(C)TV TOKYO Corporation
懐かしのオープニングベル(かつてあった株式市況ニュース)の進藤アナがロンドンからレポート。
イギリスのこの日の様子がよくわかりました。
さらには、EU離脱に苦言を呈するアメリカについて触れたのも、ワーステだけ。
(C)TV TOKYO Corporation
今後の離脱までのロードマップも詳しく解説。
(C)TV TOKYO Corporation
さらには、離脱に追随する各国の新しいスラングも紹介。
(C)TV TOKYO Corporation
夜の部のニュースでは、意外なことにワールドビジネスサテライトが他を圧倒していました。さすが、あの有名ブロガー「ちきりん」氏が毎日見ているほどの番組です。
そんじゃーねー!
と、行きたいところですが、この日の一番遅いスタートとなった日本テレビのZEROについては、
(C)NTV
なぜ、イギリスのEU離脱で円高が進むかについて基礎から説明したのは、この番組だけでした。
(C)NTV
さらに、イギリス国内にある東欧諸国の移民向け店舗の様子も紹介。移民の現状を生々しく感じ取れます。例えて言うなら、30年後の高岡の御旅屋通りに東南アジア各国の国旗を掲げた移民専門店が開かれているかもしれません。
究極は、EU職員の待遇の良さを批判した映像の紹介、
各種手当に加えて、医療手当ではバイアグラも支給されるしうです。
これなら、完全にイギリスの国民感情は悪化しますよね。
概ねZEROでは、移民とEUに対するイギリス国民の感情を紹介していた感じです。これはこれで、わかりやすい視点です。
さて、同じニュースを比較した結果、以下のような判定に。
本命 ワールドビジネスサテライト
池上彰の選挙特番でもあり得ることですが、「お金をかけないで、他局と異なる視点でわかりやすく解説」の路線を世襲。全てのニュース番組でも扱っていた、株価や為替についても、より詳細に扱っていました。BSジャパンで全国で視聴できるのもいいです。
対抗 ミヤネ屋
テレ東が経済的切り口なら、こちらはナニワ的な「銭」を根底に構成されているような気がします。予算の少なさを、宮根氏やコメンテーター陣、さらには解説委員のトーク力でカバーしているのも、逆に面白い。
穴 NHK7時のニュース
武田アナのオーソドックスな安定感の中にも、今回の成田空港のイギリス人インタビューみたいな切り口があって面白い。お姉さんが予報するお天気コーナーも外せない!?
なお、地元局では、
「県内の企業に与える影響は?」と振っておいて、実際に放送されたのは旅行代理店へのインタビューで「ポンド安で、イギリス旅行を期待している。」のコメントのみ。
どうせなら、黒部市のあの会社や、マザーマシーンの輸出に定評がある富山市F地区に本社を構える某社へのインタビューを試みて欲しかったのですが。
コメント