2016年3月14日、富山県は二年目の北陸新幹線の年を迎えました。

とやどこでは、あの熱狂の3.14から1年を経た富山県内を北陸新幹線を使って周遊し、2年目の課題を一利用者として検証してみました。

お昼過ぎのあいの風とやま鉄道魚津駅前にやってきました。この日の魚津駅は小雨模様。北陸新幹線開業によって、この駅の平日の利用客は2割減、休日の利用客に至っては4割減少。多くの観光客が減少しているのが分かります。まずは、ここから黒部宇奈月温泉駅までの二次交通も検証してみたいと思います。

駅前の観光案内所も手持ち無沙汰な様子。手前は、黒部宇奈月温泉駅までのあいのりタクシーですが、予約式でなおかつ1000円なら県外客のみなず地元の方にも利用へのハードルは高そう。

黒部宇奈月温泉駅シタにある新黒部駅には、この地下道を通り新魚津駅から地鉄に乗る必要があります。

しかし、地鉄が北陸新幹線への二次交通である表記はあいの風魚津駅には皆無です。それどころか、→の案内だけではまるで隣接しているかのようです。実際には地下道をくぐらなければいけないのに。

そして、これがその地下道。本当に新魚津駅に辿り着くのか不安。せめて、地面にガイドペイントが欲しいですね。

この階段を上ると新魚津駅。かつては、旧JRと改札を共有してJRと同じ高架橋でホームまで辿り着けましたが、15年ほど前からこのような形に。富山駅北口と同じくらいに不便です。

ホームと同じ幅の駅事務室と改札。

新黒部までは520円。乗車距離を考えると割高感を感じますが、地方私鉄の利用状況を考えるとこれも仕方がないのでしょう。


一応、往復割引券もあるみたいですが、これもっとアピールしたほうがいいですよ。500円台と400円では心理的な負担感は大違い。

ポートラムのパスカが使えるのでカードでin。

あいの風魚津駅を向こうに眺めます。手前の線路群はかつての貨物ヤード跡。新川地区の旅客だけでなく物流の中心だった魚津駅、これも時代の流れです。

宇奈月方面と富山方面の電車それぞれが、地鉄オリジナルの大根でした。

左側の大根に乗り込むと車内は、2両編成にとやどこ管理人も含めて3人。平日の昼間ですが、これは厳しいですね。割高な運賃も納得。


黒部駅を向こうに見ながら、あいの風とやま鉄道線を全力疾走しながらオーバークロス。しかし、線路の保守が悪いのかとにかく車両が揺れまくりです。


7分後、途中、唯一の停車駅である電鉄黒部駅に到着。


この工場感溢れる屋根が逆にcoolです。


電鉄黒部駅から5分ほど乗車して、最初の目的地新黒部駅に到着。と、ここで下車時にトラブルが。


乗ってきた電車をよく見ると、「特急」の文字が。ワンマンカーの運転士曰く「特急券が必要です!」
「???」 まあ、特急料金とて110円なので慌てるほどの金額ではないのですが、さきほどのICカードで精算しようとしたら「現金のみ。」とのこと。

富山ケンミンであるとやどこ管理人ですら普段「地鉄」を利用しないため、初めて知った「アルペン特急」以外の特急料金。大都市圏の私鉄では京王線のように「特急」といえども特別料金が不要なものも多いため、戸惑いを感じる観光客の方も多いのでは。さらに、乗車時間12分でトータル630円の運賃。

参考までに、同じ新魚津から電鉄富山駅まので地鉄の運賃は乗車時間1時間ほどで690円。特急料金のことを考慮しなくても、同じ「地鉄」なのに新魚津以西と以東で大きく料金体系が異なっているのが分かります。

魚津が1年前の賑わいを取り戻すためには、まず北陸新幹線の二次交通の料金の見直しを図るべきだと思いました。

そしてあの「往復割引運賃」、新幹線駅の最寄り駅である新黒部駅でもアピールした方がいいですよ。


こちらが、二年目を迎えた黒部宇奈月温泉駅。駅周辺もいくつか変化がありました。

新しく出来た地元の人気のパン屋さんが出店したバウム屋さん。

http://tabelog.com/toyama/A1602/A160201/16007365/

お蕎麦屋さんも出来ていました。

http://tabelog.com/toyama/A1602/A160201/16007361/



駅ヨコの観光案内所併設の売店には、1周年記念のボードも。



お土産のラインナップもさらに充実。まずこちらは、魚津地区でお馴染みのバイ飯。

多くの種類のますずしが手に入る黒部宇奈月温泉駅において、ついに登場した「植万」のます押しずし。
http://www.ueman.co.jp/

made of 黒部の銘水のますの押しずしが、手軽な値段で楽しめます。


さらに、今や隠れた富山発のベストセラー「ケロリン桶」。ケロロ軍曹バージョンもあります。


駅ヨコのオープンテラスも嬉しい心遣いです。


もちろん、観光案内所内にもテーブルがあります。


二年目の黒部宇奈月温泉駅のテーマは、こちら「ウルトラ旅行記in黒部」。
初代隊員が黒部出身だったからということ。


先週土曜日には、「この方」も駅に登場。 (3月13日付 富山新聞より)


駅構内には北陸新幹線の開業1年を記念したフォトプロジェクトのボードが。


駅構内のセブンイレブンにも開業1周年記念のボードと記念グッズが。サンダーバードをデザインした「めん鉄」もありますが、黒部ではもう走ってませんよ!?


富山土産のベストセラー「幸のこわけ」もセットで販売されています。


セブンイレブンの富山限定弁当「富山味わい弁当」も手に入ります。左上はこれまた富山限定の昆布おにぎり。
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これから、13:23発の「はくたか」に乗って2年目の「北陸新幹線」富山駅に向かいます。


平日の昼間ということもあって、指定席ゾーンに並ぶ方はまばらな印象。


定刻通り「はくたか」が登場。自由席への乗車も数人程度。


逆に自由席からの降車のお客様はそれなりにいらっしゃいました。。とやどこ管理人も580円の「運賃」と、860円の「新幹線料金」を払って自由席に乗り込みます。

2年目の黒部宇奈月温泉駅を利用して印象に残ったのは、黒部峡谷のオフシーズンであるにもかかわらず駅構内にいた観光客のみなさんです。多くは、宇奈月温泉への観光客の方だと思われますが、雪のカーニバルを始めとした冬のシーズンのイベントにも力を入れておられる宇奈月温泉の方々の創意工夫の結晶だと思われます。

逆に、山側(宇奈月温泉)への観光客の誘致は成功しているのに、海側(魚津市)への人の流れは少ないように感じました。

駅構内に降り立っても、「魚津」を連想させるものは皆無、東京から初めて黒部宇奈月温泉駅に降り立った観光客は駅名にある「黒部」と「宇奈月温泉」という地名は認知しても「魚津」という地名は認知しないまま、次の観光地へ移動してしまうことになります。

新幹線の駅としてますます充実してきた黒部宇奈月温泉駅の改札をYKK関連のビジネスマンと思しき方が足早に駆け抜け、その近くのベンチでは外国人観光客グループが談笑している。

ついつい、ほんの20分ほど前にいた草茂る中にある新魚津駅のホームの光景と比較してしまいます。

3.14からの1年間が黒部と宇奈月温泉とYKKにとって飛躍の年ならば、魚津にとっては試練の年だったことは容易に想像がつきます。

そんな事を考えながら、乗り込んだW7系は高音のモーター音を鳴らして富山駅へと向かいます。

(つづく)

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