9月半ばの富山、北陸新幹線もついに開業半年となり、いろんな意味で騒がれた月9ドラマの恋仲もついに最終回を迎えてしまいました。
当初「がらがら」言われたEW7系の乗車率は47%までなんとか伸び、当初「月9史上最悪」と言われた本田翼ちゃんの視聴率もなんとか10%を超えを維持して、夏の富山もなんとか「かがやい」てくれました。
そんな中、富山の「旧」繁華街である西町の大和百貨店跡にオープンした、複合ビル、その名もToyamaキラリ。
べたなネーミング、本家「かがやき」と違って、失速感満々の響きですが、ここは論より証拠、実際に足を運んで見てみました。
こちらが、キラリの外観です。このキワモノなデザインが、公共事業チックな箱物感を存分に放っています。
入り口に近づくと、さらなるハコモノの威圧感が。例えるなら、10年後くらいにオリックスグループあたりに、競売で買いたたかれているようなイメージが・・・。
こちら、入り口の様子。案内にもあるように、ここToyamaキラリは、富山市立図書館と、富山市ガラス美術館、さらには地元の銀行である富山第一銀行が入る複合ビルなのです。
しかし、なぜ、富山市にガラス美術館?
http://www.toyama-glass-art-museum.jp/top.html
実は、富山市は過去30年にわたり「ガラスの街」をめざしてきた来たのです。きっかけは、昭和60年に開講した市民大学のガラス工芸コース思いのほか好評で、それを地場産業にしようとして「富山ガラス工房」を設置したということらしいです。
しかし、ガラス美術館にしろオルゴール博物館にしろ、全国にあるその手の「歴史が浅い」地場産業のミュージアムってことごとく失敗してるんですよね。もうあっちこっちに乱立しているレッドオーシャン状態なんですよ。小樽のやつなんて、200億円くらいの借金残して自己破産しましたし。
県外の方は、富山の、寒ブリや、立山連峰や、おわらや、五箇山には多大なる関心を持っていますが、富山産のガラス細工にはそんな興味を持っていないのでは?さらに、「ガラスの街とやま」の作品の一つが、富山駅に床に埋め込まれているフロアシャンデリアのセンスなら、これはますますトホホなイメージですが・・。
中に入って目につくのが、この2Fにダイレクトにつながるエスカレーター。そして、この建物の柱はすべて鏡になっているのか気づきます。なるほど、これはキラリしてますねー。
みなさん、この鏡のキラリ感が珍しくて、しきりにシャッターを押しています。
しかし、圧巻は、2Fに上がった時に見上げる、吹き抜けの様子。エスカレーターを取り囲む無数の木片と、それを支える鏡の柱。このセンス、もし、設計時に予想図で誰かに見せたら10人が10人「これ、変じゃね?」とか言うセンス。それを、完成させてしまった富山市、なかなかやるなー。
おっと、奇抜すぎるデザインで、思わず忘れてしまうとこだった、ここ実は図書館なんですよねー。だけど、鏡でキラリキラリしてたら落ち着いて読書も出来ないような気がしますが。しかし、そんな型破りすぎる発想も逆に気に入りました。
3Fの図書館から上を見上げるとこんな文字が。最近、とやどこ管理人が大好きな「どやりんぐ」スペース。
吹き抜けフロアを見下ろすような形でパソコン専用席、いわゆる「どやりんぐ」スペースが広がっていました。
コンセントはテーブル上ではなく、机の下にありました。ここToyamaキラリは無料wifiも完備。実は、このエントリーもここで「どや」りながら書いています。
このような風景を見ながらどやっていると、なにか自分が表参道あたりのコワークスペースにでも来たみたいです。もちろんコワークスペースと違い、利用料無料!やるな富山市! さっきまでの、ガラス批判もどこ吹く風(苦笑)。
と、本に囲まれているともよおしてくるの法則、この建物、トイレの表記がない!
と、もしかして、これ、トイレの表記のつもりですか??
この青いのが殿方用の表記のつもりですか??
で、中に入ると迷路の様・・・。
ここ手を洗う場所ですよね???
あはは、もう笑ってしまうくらいに、ブレていないこのセンス! 完全にToyamaキラリに1本とられたようです。
とにかく、いい意味でセンスというか、発想がめちゃくなんですよ、Toyamaキラリ。落ち着かない図書館、分かりにくいトイレ表記、でも、いるだけで楽しいんですよね。
このエントリーを書いている時も、横には
こんな怪しい、ガラスのオブジェがあって落ち着かない(笑)。
本当に、今まで、富山にはなかった世界です。
これまでの富山名物って、先の寒ブリやおわらや五箇山みたいに、かなり「外需」型のものでしたが、このToyamaキラリって市民ジモティーの「内需」型の名所になりそうな予感がします。(おわらも、30年くらい前までは、地元民しか行かない「内需」型観光だったんですがねー。)
その、内需型の名所で展開される富山のガラス工芸品、Toyamaキラリはそれを「ケンミン」に発信していく場所だと確信しました。全国に展開される、ガラス美術館・オルゴール館は一見さんの観光客相手ですが、ここ富山ガラス美術館はジモティーを相手にした、いわば高岡の鋳物的ポジションを獲得しそうな勢いです。
最後に、図書館横のエスカレーター脇にあったこの案内板、
いや、あれだけ、鏡に囲まれていたら、立ち止まらない方がむりだよ。
最後まで、ブレていないToyamaキラリでした。
(後日談)
シルバーウィーク中の9月22日のToyamaキラリはとんでもない状況に。
エントリー中にも書いた、「落ち着かないガラスのオブジェ」を見るために入場規制の列が。
富山のガラス工芸、ブレイクしそうです!
コメント