北陸新幹線開通後の初のお盆を迎えた富山県。毎年、このシーズンになるとニュースでもよくやる帰省のシーン、お約束のように地元のテレビ局でも、こいつがトップを飾ります。
真新しいホームに滑り込んでくるEW7くん。
去年までは、寂れた在来線のホームに飛び込んでくるサンダーバードのシーンが素材として使われていたことを考えると、隔世の感があります。特急の停車位置を示した頭上パネルが並ぶ狭い在来線ホームに人がごった返していた昨年までのお盆の方が「シズル感」があってよかったような気もします。

そもそも、東京ー富山間の運航頻度が増加した分、一運行分の乗客数は減少しているため、去年まで見られたように、越後湯沢からの「はくたか」が到着するたびに、旧富山駅コンコースに人だかりできるということもなくなりました。今夏の盆も、この通り、帰省「ラッシュ」とありますが、ふだんの週末の富山駅と比較しても落ち着いているくらいです。

Uターン時、越後湯沢行きの「はくたか」の自由席が高岡発車時点でとんでもないことになっていて、富山駅から乗ろうとしたらホームのアナウンスが「自由席ご利用のお客様はお近くの指定席の車両からご乗車ください。」(自由席のデッキまで人があふれて乗りきれない)と告げていたのも、昔ばなしとなってしまったようです。

そんな中、地元テレビ局は立山連峰登山を猛アピール、まさか、あの難攻不落の剱岳の中伏からテレビの生中継をするという快挙(暴挙?)を成し遂げました。

富士山の頂上からテレビ中継をやる時代にたかだか3000mにも満たない山の中伏から中継って、「今さら?」と思われるかもしれませんが、この剱岳、「登山者にとって最も危険度が高い山」として知られており、命を落とした登山者は数知れず、登山口の一つである富山県上市町の馬場島(ばんばじま)では、今でも多くの鎮魂のための碑が建っています。

往年の富山ケンミンなら、「雄山(立山)の頂上に登ってない奴は男じゃない」と祖父から聞かされていた人も多いと思いますが、そんな富山の男たちも、自分の孫や息子に間違っても「剱の頂上に登ってこい」とは言いませんでした。

そんな危険なのに、もとい、危険だからこそ未だに山屋さんたちの心を捉えて離さない、剱岳、今年は北陸新幹線の開通と好天で客足も増加しているということですが、一般の方が剱岳で立山連峰の急峻さを堪能するのは、(当然のように)かなりハードルが高すぎます。
(この「剱岳中継」、実は夕方のニュースの全国パートでも流れたのですが、一部の人に剱御前小屋が室堂ターミナルと同じレベルで「北陸新幹線で気軽にいける場所。」として、伝わっているのではないかと心配です。)

そこで、とやどこから提案したいのは、たった半日で立山連峰の急峻さを十二分に堪能できる、黒部峡谷鉄道の「ちょい乗り」です。

立山黒部観光の代名詞として有名すぎる黒部のトロッコ列車。でも、これ終点の欅平駅まで乗り通すと片道90分以上、往復で乗っている3時間以上かかります。つまり丸一日、トロッコ列車に時間を取られちゃんですよ。これ、例えば2泊3日で富山観光に来ている人にとっては、かなりの痛手です。

さらに、ジモティが密かに感じているトロッコ列車への本音を語ると、

帰りの90分はかなり飽きる!

と、富山の観光業界関係者を全員敵に回しそうな発言なんですが、実際にそうなんですよね。

そこで、宇奈月駅から一般観光客が下車できる駅の中の一駅目である黒薙駅まで、トロッコに「ちょい乗り」して来ましたが、そこはテーマパーク顔負けの急峻な地形が目の前に迫ってくる天然のアトラクションでした。

お昼過ぎのトロッコ電車宇奈月駅にやってきました。

乗車前から、記念撮影で盛り上がります。

駅ナカでは、黒部峡谷鉄道のキャラクターがお出迎え。

ここで切符を買います。黒部峡谷鉄道は、往路分のみ便指定での発行となります。

チケット入手。黒薙までの往復、1140円とリーズナブル。

地元の高校生のアルバイトの女の子に切符を見せて、改札を抜けます。

ホームには既にトロッコ電車が入線済み。

この可愛らしい機関車二両でトロッコを牽引。

こちらが、本日乗車する開放タイプの一般車両。

お財布に余裕がある方用に「一等車」もあります。

ホーム横には、物資輸送用の貨車も。黒部峡谷鉄道は現役の黒部ダムの物資輸送ルートでもあります。

トロッコに乗り込むと何やらカメラを構えた女性が。

実は、こちらの女性、下車後に希望者に有料で販売するための写真を撮影するためのカメラマンでした。乗客全員の写真を撮っていきます。もちろん、買う買わない自由。

ホームの売り子さんも、旅気分を盛り上げてくれます。

そして、いざ出発。ホームの駅員全員が手を振って見送りです。

駅を出て最初の見せ場は、この赤い橋。景色の素晴らしさにトロッコの中から歓声があがります。

赤い橋から見えるのは、黒部川にかかる旧「赤い橋」、かつては線路横に歩行者用の歩道がありました。

この旧「赤い橋」から見える、「赤い橋」を走るトロッコ電車はよく広告ポスターに使われます。

みなさん、シャッターを切りまくりです。

今度の見せ場は、こちらのエメラルドグリーンの湖。

この「碧さ」に車内からはため息も漏れてきます。

もちろん、こちらもシャッターの嵐。

そうこうしているうちに、最初の駅である柳橋駅を通過。この駅は隣接する発電所の職員専用駅なので、一般客は乗降出来ません。

駅名標もしっかりあります。

こちらがその発電所。写真は帰路に撮影したものなので、曇り空となり湖の色も変わっています。

こちらは、猿のために黒部峡谷鉄道側が設置している猿用の吊り橋。

ナローゲージなので、手を伸ばすと本当に電柱に手が触れてしまいます。

トンネルでは真横に壁が迫ってきます。本当にUSJのアトラクションみたいです。

15分後、目的地の黒薙駅に到着です。

乗ってきたトロッコ電車を見送ります。本当に映画のような美しさ。

トンネル手前の青い橋を近くで眺めると、この駅が本当に秘境の中にあることがよくわかります。

遊園地の中にありそうな可愛らしいホームの黒薙駅。

実は、黒薙駅からはもう一つ路線が分岐しています。トンネル方向に分岐しているのは、砂防ダムの整備用の路線です。もちろん、一般の方は利用できません。

最近話題のあの機械も、黒部峡谷鉄道沿線では使用できません。

ここ黒薙駅は本当に秘境の中にあるので、周りに観光スポット等はありません。一応、黒薙温泉(宇奈月温泉の源泉)の最寄り駅ではありますが、徒歩5分とかの世界ではありません。さらに、黒薙温泉までの道のりも絶対に遊歩道レベルのものではなく、岩場が剥き出しのかなりアドベンチャーな雰囲気なものです。実はこの日、とやどこ管理人は無謀にも、黒薙駅から黒薙温泉をめざしたのですが、それは本当に「行」の世界でした。

復路のトロッコ電車が来たので乗り込みます。遠くて分かり辛いですが、開放の一般席がほぼ満席で、乗り込むのに一苦労でした。

途中駅で宇奈月発のトロッコ電車と交換。時刻は15:00近くでしたが、一般席はほぼ満席。北陸新幹線様様です。

宇奈月駅に戻ってきました。行きと違いホーム上に人だかりができます。

出発時に撮影されていた写真が販売されていました。

片道15分程度のトロッコ電車の旅でしたが、十二分に黒部峡谷の自然を堪能できました。時間の都合で、富山旅のトロッコ電車を諦めていた方に、この黒薙駅までの「ちょい乗り」、本当にオススメです。

そして、帰りは、ちてつの宇奈月温泉駅前のお約束のこちらに是非触れてから帰路についてください。

名物、温泉噴水。