GWが明けた富山県内では、山車(だし)を使った大きな祭りが開かれました。一つは、高岡市伏木地区でおこなわれる「けんか山」伏木曳山祭りで、提灯をともした山車同士をぶつけあう「かっちゃ」を行い、海の安全を祈願します。
(読売新聞富山県版2015.5.16号より)

しかし、この祭り、てっきり高岡地区だけのローカルなお祭りかと思いきや、

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まさか、北陸新幹線で東京まで見に来た方も。「風の盆」や「むぎや祭り」ならわかりますが、このような地域のお祭りを東京から見にくる方がいるなんて、本当に新幹線とネットの威力ってすごいです。

この「けんか山」、今年初めて用意した有料席400人分もほぼ完売という盛況ぶりでしたが、それを越えると地元の方が断言しちゃった、もう一つの山車イベントが「けんか山」が終わった翌日から始まりました。
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問題になりませんとは「比較にならない」の意。コメントしてるのは富山市岩瀬地区の方。(写真は地元局、北日本放送の夕方ニュースの人気コーナーでインタビューするタレント高原兄氏)

それが、富山市岩瀬地区で毎年5月17日、18日に行われる岩瀬曳山車祭です。

岩瀬の町を南側の表方と北側の浦方に分け、それぞれの町の山車をぶつけあう「かっつけ」を行い、大漁豊作を願います。

「かつける」とは富山市の呉東の言葉でぶつけるの意味ですが、岩瀬の「かっつけ」は総勢30人ほどの男たちが全速で綱を曳き山車をぶつけあうので、相当激しい状況になります。過去に何人もの怪我人や、近年も死者が出ているため地元の富山北署の警官が総動員で警備にあたる物々しい雰囲気の中行われます。

そんな2015年の岩瀬曳山車祭り初日に行ってきましたが、そこにあったのは遠慮がちな富山ケンミンの印象を覆す、ハマの男たちの現代の格闘でした。

曳山車祭りに向け、ライトレールも本気を見せています。かっつけのオーラスとなる浜町と新町の一番が終わるのが深夜0:30くらいなので、まさかの富山県内で1:00発の電車が走ります。

20:00 ポートラムの岩瀬駅に到着です。

町の中心部は終日車両乗り入れ禁止になります。

運河横の道路には山車の列をかっつけの会場となる諏訪神社へと先導する神輿が各町から出発した山車を待ちます。

続々と山車がやってきます。こちらは表方の筆頭の新町の山車に、道を譲った永割地区(中立)の山車。


20:54 13機の山が全て揃いました。

運河から山車を眺めた様子です。

21:00 先頭にいる浦方の筆頭、浜町の山が曳き回しを行い、順に諏訪神社前に向かいます。

それぞれの山が諏訪神社に奉納し、かっつけに備えます。

花よりだんご、とやどこ管理人も屋台ラーメンでかっつけにそなえます。

21:55 白山町の山が奉納です。

22:00 表方筆頭、新町の山が奉納をしています。

かっつけに向けて富山北署のDJポリスも準備OK!

こちらは、富山のタレント高原兄さんの御親類宅。諏訪神社の真ん前なので、かっつけを観る特等席となっています。

22:20 すべての山の奉納が終わり、諏訪神社前はかっつけを待つばかり。

22:45 2015年 最初のかっつけは荒木町と大町で、大町の圧勝!

23:08 セカンドヒートは福来町と諏訪神社の地元白山町の戦い。

白山町が福来町を曲げて押し込みました。浦方の二勝です。

23:30 五分間にわたる大勝負となった財町と港町のかっつけ。

港町が最後の最後に押し切りました。浦方の三勝です。

永割と浦町の戦いは、立会いが狂い、場外も大乱闘に。しかし、これがかっつけ!

0:07 浜町の山が登場。ついに、岩瀬曳山におけるクラシコ、新町と浜町のかっつけです!

0:22 両山車が15分ほど対峙して、遠方からまずは浜町の男衆が猛スピードで新町の山車の方へ、綱を曳きます。

勢いよくかっつけが行われます。当初は浜町の山車が押し切るかと思われましたが、

新町の男衆プラス女衆が懸命に綱を引き、新町の山車が盛り返しました。会場にはどよめきが。黄色いタスキは他の町の警備担当。新町と浜町のかっつけは、刺すか刺されるかの緊迫感がただよいます。

最後は、浜町が押し切りました。時刻は0:30。浦方が全勝したので、今年は大漁ということになります。

常識で考えたら、これって祭りっていうより壊しあいの格闘ですよね。しかし、閉塞感漂うこの時代に、それもあの普段は勤勉な性格で知られている富山ケンミンこんなお祭りをやっているのって奇跡だと思うんですよ。そこで、

とやどこからの提案

2016年5月17日、18日は奇跡の格闘を観に岩瀬に来よう!

岩瀬曳山車祭りを観て感じたことは、この奇跡の格闘も、なかなか儚いものなのかもしれないということでした。通常の住宅街の真ん中にある神社前の道路で、何トンもする山車をぶつけあう。観客席はロープ一本隔てた歩道。さらに、町衆はそんなぶつかりあう山車の真横で囃しをあげます。

これで、怪我人を出すなという方が無理でしょう。事実、年々、かっつけに関する警察の指導は厳しくなってきているようです。(かつては、不意打ちでかっつけを行うという危険なことが普通に行われていたそうです。)


おそらく、この風景を観られるのも、あと数年ではないのでしょうか。

富山市岩瀬で行われる奇跡の格闘、来年こそ観に来ませんか。

(後日談)
この岩瀬曳山車祭りの様子は地元テレビ局のニュースでも報じられましたが、その中で4代に渡り山車の総責任者である山元を勤める方が、祭り存続の最大の敵は少子化だと仰っていました。現在は、丁度ベビーブームのころの30代40代の方が曳き手を行っているため祭りは大いに盛り上がっていますが、将来の曳き手となる現在の小学生、例えば岩瀬小学校の児童数は30年前の6分の1ほどに減少しているとのこと。そんな意味でも、この祭りは儚いものなのかもしれません。

とやどこ管理人が撮影した岩瀬曳山車祭りの様子が以下からご覧になれます。