前回エントリー

前回のエントリーで紹介した、北陸新幹線の新たなる刺客として登場した成田LCCターミナル。今回は実際にそんなLCCに乗ってみて、LCCがどれほど北陸新幹線の脅威になるかを実際に体験し、なおかつ、沖縄と富山にあるものを徹底的に意味もなく比較してみました。

今回搭乗したのは、成田空港を10:00に出発するバニラエアの805便。価格は5000円程度。成田までのバス代を入れても6000円なので、費用対距離を考えると富山行きの北陸新幹線は勝負になりません。チケットもネット上からプリントアウトをそのまま使えるので本当に便利。

新幹線のチケットもそうなればいいのですが、自動改札を考慮すると、発券が手間だと考える人はモバイルSuicaにしろということなのでしょう。

10:00に出発する便なのに、搭乗が始まったのは9:56、

後ろの長い行列を見ても、とても4分間で乗り切れる人の数ではありません。定時性という部分では圧倒的に鉄道優位なのは変わりません。

成田LCCターミナルではボーディングブリッジではなく、駐機場にある幌がついた通路を渡り飛行機まで移動します。向こうに見えるのがエアバスのA320。

機内の様子です。
E7系の車内と比較しても、飛行機というのは開放感がないのがわかります。

特にシートピッチについては厳しいものがあり、大柄な体型の方なら飛行中ずっと足が全席に触れたままの状態を強いられます。
そう考えるとE7系の足下は、普通席であっても相当余裕があります。居住性では、E7系はA320を圧倒していますが、これはLCCではないANAの富山便にもあてはまることなので、やはり今後の富山便の行方が心配です。

窓側席だとさらなる圧迫感が。

意外ですが、座席テーブルはなかなかの広さでした。機内食等の供給を考慮してのことでしょう。初期の上越新幹線の車両(200系)の普通席のテーブルは本当に小さかったの思い出しました。

窓からの風景ですが、見事なまでに翼が視界を遮ってくれます。
例え防音壁があっても北陸新幹線からの眺めは最高です!

車窓も楽しめないので、ipadで沖縄特集を見ながらコーヒーを楽しみます。しかし、このコーヒーがインスタントそのもの。そう考えると、供用スペースの関係だとは思いますが、新幹線のコーヒーって美味しいですよね。

今度はトイレ対決、
E7系のトイレタリースペースは、他の鉄道車両よりも広めとってあるために、A320とは比較になりません。

よって、手洗い場の広さにも大きな差が。
こっちの、エアータオルまで内蔵したE7系の洗面台は鉄道車両としての範囲を超えています。

ここまで書いてふと感じたのですが、圧倒的なE7系のアメニティー度の高さ、完全に東西JRは鉄道が優位性を最大限活かせる車両を作り上げて各社の航空便を潰しにかかっているような感じがします。LCCどころか、富山へ向かうANA便ですらこのアメニティー度には敵いません。

そうこうしているうちに那覇空港に到着しましたが、到着してもすぐに降りられないのが飛行機のさらなる弱点。
上越妙高駅到着時の通路の混雑など可愛いものです。

しかし、タラップを降りて目に入るこの光景は、大きな高揚を感じさせてくれます。

LCCと新幹線、快適性は圧倒的に新幹線で、LCCに乗っている時間は完全な苦行をこなしている感じでした。ただし、そんな苦行の先にあるのが札幌や沖縄というネイティブな日本とは少しだけ違う日常では感じられない高揚を味わえる浄土だと考えると、LCCでの移動は苦行を伴った宗教であるとも言えます。ターミナルでの煩雑な保安手続きをも儀式として含んだ宗教なのです。

実際に飛行機を降りてからすぐに道端のハイビスカスを見ただけで、LCCの苦行が帳消しになってしまいました。

そんな那覇空港で、今度は二次交通を比較してみます。目的地は両県に共通してある駅名である、県庁前駅。空港横にあるゆいモノレールを目指します。

しかし、道路を一本以上挟んだ場所にあるので、移動は階段の上り下りを含めて大変です。
やはり二次交通のアクセスは駅シタ乗り入れのセントラムの圧勝です。

こちらは、ゆいレールの料金表。距離制となっており、県庁前駅までは260円。

ホームにはゆいモノレールの車両がやってきました。
車両のデザインの比較は、完全な主観の問題ですね。

こちらは、ゆいモノレールの全面展望です。向こうに青い沖縄の海が見えます。さすが、モノレールだけあって、展望の面ではセントラムに勝ち目なしです。

そうこうしているうちに、県庁前駅に到着。
県庁前という割にのんびりしているセントラムの県庁前駅とは異なり、
ゆいレールの県庁前駅には、新聞社や銀行の本店があります。

向こうに見える巨大なビルが沖縄県庁です。写真はありませんが、年季物の富山県庁とは雲泥の差です。新幹線建設でお金を使い果たした富山県庁の新設はそれこそ50年後とかかもしれません。

どうせなら、もう一つ対決を、名付けて沖縄、富山そば対決!
沖縄の代表はもちろん沖縄そば。
富山の代表は、富山駅のソウルフード、立山そば。

これが、沖縄そば。お隣は、沖縄のかやくご飯ジューシー。カツオのうすだしスープで、三枚肉を乗せて頂きます。
こちらが、立山そば。関西風のうどん出汁で、多少コシに欠ける袋麺の蕎麦を食べる感じです。

しかし、この対決、片や専門店、片や駅そばなので比較に無理がありましたが、両方とも本当に美味しかったです。

最後に橋対決です。

こちら那覇市の泊港にかかる泊大橋、

こちらが、富山新港にかかる新湊大橋。

ぱっと見、長さは新湊大橋の圧勝かと思いましたが、新湊大橋は600mなのに対して泊大橋は1118m。県庁前駅の賑わいに引き続いて、富山の完敗でした。

沖縄と富山を意味もなく、強引に比較した単なる旅行記ともなりそうな今回のエントリーでしたが、比較していくうちに富山にも沖縄に負けないくらいの魅力があると再確認させられました。

北陸新幹線で行く富山と、LCCで行く沖縄、どちらも楽しい旅であることに間違いはありません。