北陸新幹線開業の裏で、今まで電車一本で来れた関西や名古屋方面から富山への旅行は本当に不便になったと聞きます。そこで、とやどこは、西日本地区から富山までの乗り継ぎを実際に行ってみました。
どうせなら、みんなが思いつかない場所でやってみたいと思ったので、今回は沖縄の那覇空港を出発し、飛行機で関西空港、そこから「はるか」で京都へ、京都からは富山ケンミンにとっては懐かしの「サンダーバード」で金沢に、さらに金沢からは北陸新幹線「つるぎ」で目的地である富山へと向かいました。
出発は、連休2日目の5月3日、時刻は15:00で、乗る飛行機は予算の都合で、
こちらのピーチエア。いわゆるLCCなので、乗り継ぎに失敗するケースも懸念されましたが。関西空港内を全力疾走したおかげでなんとか予定の列車に乗れました。
関西空港内で乗車券を購入する時間の余裕はないので、今回は前もって沖縄県内で唯一のJRであるJR九州那覇支店で、購入を済ませておきました。
沖縄で発券されたJRの乗車券に京都、金沢、富山の文字が踊ります。
13:06 ピーチエアの那覇空港でのチェックイン締め切りは出発の25分前。ターミナルも空港内をバス移動なので、前泊したゆいモノレール旭橋駅を余裕を持って出発します。
車内は大きな荷物を持った方が目立ちます。おそらく、沖縄から島外から遊びに行かれる方々でしょう。
車内には、進学塾である四谷大塚のテキストを片手に勉強をしているこれから旅行に向かう男の子も。沖縄は、意外や意外、地方都市の割に私立中学受験も盛んなのです。
13:19 那覇空港駅到着。午前中の晴天からうってかわって、曇り空となり、湿度も高くなりました。沖縄の実質的な梅雨入りは、毎年5月の子供の日くらいだということ。
ホームには、先週オープンしたばかり、東南アジアで最大規模のショッピングモール、イオンモール沖縄ライカムのラッピング車両が。
ゆいレールの自動改札は、磁気式ではなく、バーコードを読ませるタイプのもなので、不慣れな人が多くその度に列が止まります。
右側の黒い部分がバーコード、切符裏に磁気テープはありません。
青い部分にバーコードをかざします。このような自動改札は、日本で唯一ではないでしょうじゃ。
ゆいモノレール券売機前は富山駅の北陸新幹線券売機状態に。
空港横のパーキングは新高岡駅状態に。
こいつに乗って、通常のターミナルとは別の場所のターミナルに行きます。
LCCターミナルに着くと、折り返しのバスに多くの乗客が列を作ります。これから3泊4日の沖縄の旅でしょうか。
LCCターミナル全景です。元は貨物倉庫だった場所を改装。
この機械でチェックイン。
レシート状のチケットが出てきます。下に地味にookini!の文字が。
こちらの保安ゲートを抜けて、搭乗口へ。
こちらも、倉庫感たっぷりの、搭乗口待合室。
14:00 ここまで、なかなか順調でしたが、なんと一つ前の13:45発の関空便の搭乗を出発予定時刻を過ぎても行っていました。LCCが最も苦手とする定時性の問題がここでも起きていました。
14:30 搭乗案内のアナウンスが、「14:40よりご案内を開始します」と告げます。
14:35 まさかの、フライングで搭乗案内開始です。
14:40 駐機場前で待ちます。
14:42 徒歩で機内に移動。
LCC名物、駐機場での記念撮影。
タラップ前では、グランドスタッフが誘導。
いざ機内へ。
14:48 CAが手際よく荷物を収納。ピーチのCAの客捌きついでに、荷物捌きは、本当に芸術の域に達しており、この後10分もしないうちに飛行機はドアクローズを行いました。立山ケーブルのスタッフと同様の熟練技です。
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立山ケーブルに乗ってみた。
すごいのはCAだけではありません、機内の照明部分に注目していただきたいのですが、機内が乾燥しないようにミストが出ています。これだけの気配りは本当に素晴らしいです。
15:10 飛行機がタキシングを開始したのは14:58でしたが、LCCターミナルは空港内の端にあるために滑走路までの移動に時間がかかりました。空港の規模は比較にもなりませんが、富山空港ならドアを閉めてからすぐに飛び立つので、少しだけ新鮮でした。
機内販売の食事もセンスがあります。
16:50 関西空港に着陸。CAは到着案内のアナウンスの後に「本日は、ご利用頂きまして、おおきに!」と締めくくりました。とにかく、最後まで楽しませくれたピーチエア。
外に出るまで時間がかかるのが、飛行機の欠点。
16:57 歩いてターミナルまで移動します。
17:00 ターミナルに到着。と、ここまでは順調でしたが、なんと電車に乗れる第1 ターミナルへはバス移動が必要なことが発覚。以前のジェットスターでは、そのままボーディングブリッジで第1ターミナルだったので大誤算!
特急はるかの出発は17:16、ギリギリです。
はるか向こうに見えるのが第1ターミナル。成田空港の旧LCCターミナルと違い、本当に全く違う場所にあります。
17:09 降りたバスを撮影する余裕もなく、向こうのJRの駅へと走ります。
やっと、JR関西空港駅に到着です。
目指すははるか30号。
ホームには、先発の関空快速が。
本当はこれも乗ってみたかった、南海のラピート君。
そして、ゆいモノレール、ピーチエアと来て、この日3本目の乗り物となる特急「はるか」。
しかし、車内は安定の「かがやき」モード。京都まで、一車両を二人で貸切のお召し状態で向かいます。
17:16 定刻に出発。場所がらこんな表記も、意味は「次は 天王寺」。
関空との連絡橋を疾走します。
橋を渡ると、路線を共有していた南海とはここで分離。
17:49 天王寺駅到着。
ここで、かなりの方が下車。しかし、なぜか、当方の1号車には2人のお客さんが乗り込んできました。
列車は環状線内を走ります。途中、大阪ドームを発見。山手線みたいな場所を特急が走るなんて大阪ってすごい。
大阪名物、玉出もあるでよ。
18:06 新大阪駅は小雨交じり。
まさかですが、新大阪から乗車される方も。特急料金650円を払ってでも着席で移動したいという需要もあるのでしょう。
京滋バイパスを横目に京都を目指します。
まるで北陸新幹線の金沢駅の発車メロディーのようなチャイムがけたたましい音量で車内に流れて、京都駅到着をつげます。
18:32 案内板にある見慣れぬ列車名に旅情を感じます。
京都駅のホームにも、どこかの北陸新幹線の「古都」駅が好みそうな大理石が使ってあります。サンダーバードの発車は18:40、乗り継ぎが不安でしたが、なんと北陸線特急の0番線へは、はるかが到着したホームをそのまま歩いていくとたどり着きます。乗り換えに階段不要の快適さは素晴らしい!
およそ、90日ぶりにサンダーバードの電光表記を見てテンションも上がりまくりです。
そして、ついにやって来たサンダーバード君!久しぶり、富山ケンミンは君のことを忘れてないよ!早く、あいの風とやま鉄道にもおいでよ!
連休二日目なのでかなりの方が乗車されます。
長い列が出来、ホームのアナウンスも乗車を急ぐように告げます。
18:41 定刻を1分遅れて京都駅を発車。車内の乗車率は97パーセント。北陸新幹線によって、北陸の関西離れが言われましたが、この状況とかがやきの指定席を比較しても、そのようなことはまだ起こっていないと確信。
19:00 夜の琵琶湖を眺めながら、サンダーバードは湖西線を全力疾走します。それにしても、とてもここちよい走りです。あれだけ欲した新幹線ですが、サンダーバードが無くなる喪失感がこんなに大きいなんて。
E7系ではおなじみのショット。電源コンセントなんていらない、この大きなテーブルさえあれば満足だ。だから、もう一度富山においでよサンダーバード君。
サンダーバード独特の車内チャイム「ホニャララホニャララホー」の後に敦賀到着のアナウンスが。
19:33敦賀駅到着。それなりの数の方が下車。この地と大阪が新幹線で結ばれるのは何十年後なのでしょうか。
19:55 武生発車、19:59鯖江発車、いわゆる千鳥停車のサンダーバードですが、ゆえに利用率も高いのでしょう。鯖江以降、車内にも空席が目立って来ました。サンダーバードではありませんが、北陸新幹線でもはくたかの方が乗車率が高いのもうなづけます。
20:08 福井に到着です。さすが県都、車内のデッキは降車客で一杯。はくたかの上越妙高駅状態になっています。
20:20 芦原温泉到着時、お隣にも大阪方面へのサンダーバードが到着。この時間でも、かなりの乗車率。
20:29 加賀温泉到着。実感では北陸新幹線の糸魚川駅よりも利用者が多いです。
(後日談)
2012年の糸魚川駅の一日の利用者数は1000人を切るくらいなのに対して、加賀温泉駅はその倍なので、サンダーバードの利用者が糸魚川駅における北陸新幹線の利用者より多いのは当然の結果でした。利用者数900人台の駅に新幹線が止まり、2000人の駅には未だに新幹線は来ていないという現実を見るにつけ、新幹線というのはとことん政治なのだと痛感。
20:38 北陸新幹線開業後は元気がなくなっている空港の最寄駅に。
飛行機と違い、鉄道はまだまだ元気です。
20:50 お次の停車駅はこちら、しかし、特急が停車するイメージがわきませんが、
予想に反して、福井駅に次ぐ利用客の数でした。
松任以降、車両の5割が空席となりました。
20:56 サンダーバードを降りて、新幹線へ。乗り継ぎ時間は10分。
階段を降りて右手の中間改札に向かいます。かつての越後湯沢の乗り換えよりはスムーズに感じました。
サンダーバードから大量の乗り継ぎ客が自動改札に列をなします。越後湯沢の風物詩が今は金沢に。
最終かがやきの次発がつるぎ。
エスカレーターには列が。しかし、このエスカレーターを上りきった場所にあるのはつるぎの指定席と未使用の車両部分なのです。つるぎの利用者が最も多いと考えられる、自由席車両へ向かうにはホームをかなりUターンしなければいけません。
こちら、最終かがやきを外から眺めました。空席が目立ちますね。
最終かがやきは1分遅れて発車。
21:06 いい日旅立ちを聴きながら、つるぎは定刻に発車。
こちら、4号車の自由席ですが、かなりの乗車率。
昼間だと気付きにくい窓のロゴ。W7系の窓は富山県のメーカーの製造した合わせガラスを採用しています。
もちろん、つるぎでもやりました、お約束のスマホ充電。
21:19 あっという間に新高岡へ。未だにこの新幹線の時間感覚には慣れません。「はくたか」への乗り換え案内をアナウンスをしようとした車掌氏が、思わず「特急 はくたか」と言ってしまい訂正されていました。ホワイトウィングやスノーラビットへの思いは、車掌氏も同じなのでしょうか。
車内の4割が新高岡駅で下車。乗り継ぎ割引が効いているようです。
10分後、すぐに富山駅に。新高岡駅のかがやき停車のネックとなっているのが、この駅間の所要時間の短さではないでしょうか。
21:30 ピーチエアがタキシングを始めて、6時間半後、やっと富山駅に到着です!
みなさんおもいおもいの場所へと向かわれて行きます。
今回は、ピーチエア、はるか、サンダーバード、つるぎ、さらにはゆいモノレールという5種類の交通機関を乗り継いだわけですが、それぞれの特徴が印象に残りました。
まずは、ゆいモノレールから。
戦後初の沖縄の鉄道として開業してから、早10年以上が経過しました。とやどこ管理人も、開業当初はその物珍しさも手伝って、沖縄に行く度によく利用していましたが、大きな荷物を持って階段を上り下りするのが段々と苦痛になってきました。全国の多くのモノレールや新交通システムの類が赤字になっている原因の一つがここにあるのでしょう。沖縄の年配の方は、未だに階段を利用しなくてもよいバスを利用されています。
富山市が二次交通の手段として既存の市電を駅シタに通した決断は千金に値します。階段を降りるだけで二次交通にたどり着ける気軽さは本当に助かります。歴史にifはありませんが、もし、80年代に北陸新幹線の着工が始まっていたら、時代を反映して新交通システムやモノレールの建設を声高らかに叫ぶ輩が出てきたかもしれません。
次に、ピーチエアですが、
一言で言えば、センスと気配りに溢れた2時間のフライトでした。ターミナルのバス移動はいただけませんが、それを差し引いても、もう一度乗りたくなるようなオペレーションです。国内のLCCで唯一黒字を出しているだけのことはあります。W7系のデザインもそうですが、大阪の交通事業にかかわる会社のセンスは本当にいいですね。
炎上覚悟で、「もし」の話をするならば、もしANAの富山便にXデーが来て、このピンクの飛行機が富山と成田を結んだなら、確実にW7系の大きなライバルになるでしょう。
そんなW7系のJR西日本が運行する特急「はるか」ですが、
京都までの旅は本当に快適でした。自由席特急券970円が余分にかかりますが、乗り換えがないという状況が本当に快適だと改めて実感。北陸新幹線がほくほく線時代の3倍の乗客を集めている理由もわかります。例え、南海のラピートを利用しても京都駅までは二回の乗り換えが必要となるため、目的地が「京都駅」ならはるかの方が便利です。(阪急の四条河原町駅が目的地なら、南海との割引切符もありまが。)
しかし、富山に住んでいて関西空港を利用する状況というのはほぼ考えら得ないので、特急「はるか」という列車は富山ケンミンにとっては縁がない列車となります。
そんな、富山ケンミンが強引に縁を切られてしまったのがサンダーバード。
今回、千鳥停車パターンのサンダーバードに乗って感じた事は、石川県内の利用者の多くが途中の松任駅までで降りてしまうということです。逆に、金沢駅まで乗り通した乗客の6割がつるぎに乗り継いでいました。やはり、関西は今でも富山県と結びつきが強いと実感。
しかし、そんな分析以上に、久しぶりに683系電車に乗れたことが、素直に嬉しかったです。人間とは無い物ねだりで、W7系に感動しながらも、どこかで683系が富山県内を走らない状況に寂しさを感じていました。
一歩車内に入ったら、あの大きなテーブル、独特な車内チャイム、唸るモーター音、そしてこのシート、すべてに感動しました。
もう一度、富山県内を走るサンダーバード君を本当に見たいと思いました。
そんなサンダーバードの代わりに走るつるぎですが、
当初は「誰が乗るんだ?」と言われていたこのシャトル便も、開業から90日で富山と西日本を結ぶ交通機関として無くてはならない存在となってきました。何しろ、これに乗らないとサンダーバードもしらさぎも乗継ぎ割引にならないですから。
それにしても、所要時間が特急時代の半分に短縮されたのは、驚愕です。富山と金沢が完全な通勤、通学圏になってしまったのです。今後、どちらがストーロし、される方になるのか、富山と金沢のつるぎのさや当ては今始まったばかりです。
今回、那覇空港から富山駅までの所要時間は6時間半、那覇空港から羽田空港経由で富山空港へ乗り継いだ場合は、これより2時間程短縮されますが、色々な交通機関に乗れる今回の行程はなかなか楽しかったです。
先日、鹿児島から富山へ観光でいらした方は、飛行機の乗り継ぎでは無く、わざわざ羽田空港から北陸新幹線に乗り換えて富山に来たとテレビのインタビューで仰ってました。
やはり、交通機関そのものが旅行の楽しみになっているのですね。
これを、ご覧になっている沖縄のみなさんも、こんな楽しいルートで富山に来て見ませんか?
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