黒部峡谷鉄道、ホタルイカ海上観光船とイマイチ元気がない富山の呉東地区の観光スポットにおいて、一人気を吐いているのが、立山黒部アルペンルートです。その最初の交通機関にあたり、さらにはその乗車定員の少なさゆえにツアーのアキレス腱となっているのが立山ケーブルですが、GWが始まった最初の日曜日、休日の混雑状況を探るべく実際に上側の美女平駅まで乗ってみました。そこにいたのは歴史に裏付けられた鉄道王国富山の熟練したスタッフでした。
立山ケーブルはすべて時間指定制になっており、改札は発車の5分前からになります。案内は団体列の客を先に改札に通したあと、一般客の順番になります。よって、一般客の着席はほぼ望みが薄いですが、乗車時間が8分程度なので大きな問題になることはありません。
ちなみに、乗車券はバーコードで読み取っています。終着地で回収されることはありません。
ホームの様子です。階段状のホームの階段の傾斜が思ったよりも急で、こんな場所をケーブルが登っていくのかとあらためて驚きます。
短い停車時間で手際よくスタッフが、スキー等の大きな荷物を後方にある荷物室へと運びます。
下りの乗客が完全に降りてから、乗車開始です。ケーブルカーは上りと下りの発車時刻が同一なので、スタッフはそれに間に合うよう乗客を誘導。
このような混雑状況の中、開通以来無事故を継続。立山ケーブルの一番の偉業です。
こちらが運転台ですが、実はここでは運転はしていません。制御はすべて美女平駅にある制御室で行っています。
いざ出発です。これ以降は、とても混雑していて綺麗な写真を撮れる状態ではなかったので、以下から始まるオンボード写真は下りケーブルから上方を眺めたものを逆に紹介しているものだということを、お断りしておきます。
走り出して直ぐに、トンネルが現れます。
線路脇は、林の向こうに常願寺川が流れます。
トンネルの中は明るいです。
トンネルを出て左手には、立山ケーブル材木石が。材木の形をした石は、溶岩が流れながら固まって出来た形状とのこと。
材木石を越えると、唯一の交換ポイントにさしかかります。
トンネルに入る直前に交換。
トンネルを越えたら、終点はすぐ。しかし、ここが立山ケーブルの最大の傾斜地なのです。写真ではわかりずらいですが、本当に角度が急です。
美女平駅到着直前。
美女平駅に着きました。上に見える窓が制御室です。赤いランプが見えますが、乗ってきたケーブルが臨時便であることを示しています。
普通の靴ですらこの階段を登るのは辛いのに、スキー靴で登るのは大変だったのではないでしょうか。
乗ってきた上り便は、回送のままの下り便となりました。
雪の大谷に向かわれる方々は、今度はこっちの列に並びます。アルペンルートとは、すなわち行列の連続なのです。(哲学風に)
高原バスはハイブリッドカーがメイン。
ディーゼルバスもあります。
駅構内に珍しい写真が掲示されていました。開通した当時のアルペンルートの高原バスの模様です。除雪技術が今ほどなかった時代に、この雪山を観光資源にしてしまった先人達の偉業に今更ながら驚きます。
この季節は、美女平駅周辺にも残雪があります。
美女平駅の中の様子です。アルペンルートからのバスが到着する前は閑散としていますが、
一旦バスが到着すると一気にコンコース内が賑わい始めます。
個人的に好きな場所が駅の二階ある展望台です。
先ほどまでいた立山駅周辺を見下ろすことができ、
上からのケーブルカーもバッチリです。
残雪がある立山連峰も間近に。
美女平駅はアルペンルートの通過駅として、ほとんどの方がコンコース内から外に出られませんが、個人で行かれた方にはは是非こちらの展望台や駅周辺を散策して頂きたいです。
下り便の改札口です。立山駅と違い、時間指定制ではありません。アルペンルートは許可された高原バスしか走っていないため、乗客の到着時刻が把握できるからです。
改札内に乗車人員の表記がありました。120名ということは、あの小さなケーブルカーに、とやどこで以前実況したかがやきの4車両分の人が乗っていることになります。
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ここら辺は、60年以上の歴史を持つ立山ケーブルの底力を見せつけてくれます。
下り便のホームもこのような感じに。しかし、立山ケーブルのスタッフはこれだけの乗客を上手くコントロールしていきます。
アルペンルートのうち、室堂までのコースには、春スキーを楽しまれるリピーターが多く存在します。
それもこれも、この混雑状況に上手く対応しているスタッフのみなさんの努力の賜物だと実感できました。
1954年に開業して今年で61年目、鉄道王国富山を立山山麓から見守り続けてきた重鎮は、今日も多くの観光客を運んでいます。
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