富山の人々の信仰の対象とされてきた立山連峰。しかし、その一部は日本海へと流れ込む急峻な地形となり、北陸路を行き交う旅人を苦しめ続けて来ました。断崖を襲う日本海の荒波で、親は子を、子を親を省みることなく旅路を急いだことから、親不知(おやしらず)と呼ばれるこの場所は、今も交通の難所のとして知られています。

    Wikipediaより

作家森鴎外は自身の作「山椒大夫」の中で、

越中の国に入るさかいにさえ、親不知子不知おやしらずこしらずの難所がある。削り立てたような巌石のすそには荒浪あらなみが打ち寄せる。旅人は横穴にはいって、波の引くのを待っていて、狭い巌石の下の道を走り抜ける。

と、描写。

それほどの自然の要害となっているこの地に、陸路は旧道、国道、高速道路と三度による変遷を重ね、今も北陸路を行き交う人と物を運んでいます。糸魚川市では、これに近世の「渚の道」を加え「四世代道路」として、先人の苦難と偉業を後世に伝えています。http://www.itoigawa-base.com/kanko_jiten/geopark/02_oyashirazu/yonsedai.html
渚の道 (建設マネジメント技術より http://kenmane.kensetsu-plaza.com/bookpdf/172/at_01.pdf )

苦難は鉄路がこの地を通ってからも続きます。大正期に開通した初代の北陸線は海岸と断崖を縫うように走っており、ある時はそこを走る列車を雪崩が襲う悲劇が発生します。またある時は土砂崩れにより、列車が崖から転落する大事故が起こります。

昭和も中盤にさしかかったころやっと、第二世代の鉄路とも言えるこの地区の北陸線の電化と複線化が完了し、北陸と首都圏を結ぶ大動脈として賑わいます。

そして今、第三世代の北陸新幹線はこの交通の難所を僅か3分で走り抜けていきます。

そんな、交通の難所の第二世代の鉄路を引き継いだえちごトキめき鉄道の日本海ひすいラインに糸魚川まで乗ってみました。
そこは絶景の日本海を眺めることができる展望空間でした。

実質的に日本海ひすいラインの始発駅となる富山県の泊駅から乗車。あいの風とやま鉄道の車両とは、同一ホームに並びます。

あいの風カラーの駅名票に「トキてつ」カラーの車両が並びます。

ホームには案内板が。

車両は新品の2014年製。最初は気づきませんでしたが、実は電車ではなく気動車です。

座席は、山側の一列と海側の二列シートの組み合わせで通路を多く取ってあります。ここは、糸魚川駅のように山側を「アルプスシート」、海側を「日本海シート」と名付けていただきたいものです。

今回はもちろん「日本海シート」で。本当に真横に、日本海とヒスイ海岸が広がります。

苫屋と日本海。なつかしの海辺の風景が真横に。

本来の日本海ひすいラインの起点となる市振駅に到着。ここはかつて、歌人松尾芭蕉が宿を取った場所でもあります。付近には、「歌」という地名もあります。

「日本海シート」から眺めると、本当に真横が市振漁港。とやどこスタッフが高校時代、海からの波で市振駅ホームが水浸しになり、さらには架線用の電柱が倒れ、北陸本線が運休という事態もありました。

そうこうしているうちに、隣には北陸自動車道が。本当に日本海の上を走っています。手前が近世の「渚の道」となり、まさに第一世代と第四世代の陸路の時代を超えた共演です。松尾芭蕉が今この場所の「渚の道」に降り立ったら何を思うのでしょう。

北陸自動車道が断崖へとすいこまれた後、今度はまたもや美しい日本海が。

青海駅を出て「アルプスシート」に移ると、そこには新幹線高架を抱く雪山が。この後、日本海ひすいラインは新幹線をアンダークロス。新幹線は日本海側へと向かっていきます。

糸魚川駅への最終アプローチとなる姫川。奥に見えるのが北陸新幹線の姫川橋梁。コンクリート壁の工法は、フィンバック形式といい、日本海に近すぎるゆえ塩害が憂慮されたため、鉄橋方式をとらなかったとのこと。

糸魚川駅に到着。ここでは、多くの乗客の方が乗り込みました。

ここまで、乗車時間は30分足らずでしたが、日本海は様々な表情を見せてくれました。まさに日本海ひすいラインは、日本海を楽しむための展望空間のだったのです。そこで、

とやどこからの提案

2回目の富山は、はくたかに乗って、日本海へ行こう!

前回のかがやき乗車記にも載せましたが、かがやきに乗ると上越妙高付近からE7系は全力疾走を始め景色をゆっくり楽しめる状況でなくなります。

そこで2回目の富山は、はくたかで糸魚川駅に来て、そこからはゆっくりと防音壁もなく迫力の日本海を楽しめる日本海ひすいラインに乗り換えて向かうのはいかがでしょうか?
かがやきのスピード感に比較して鈍足なイメージがあるはくたかですが、実は糸魚川までは東京から2時間程度で到着する便も多く設定されているのです。

日本海ひすいラインから泊駅であいの風とやま鉄道に乗り継げば、こんどはそのまま富山の自然美を楽しむことが出来ます。
特に冬場は、海沿いに雪が積もりなんとも言えぬ光景に出くわします。

泊駅まで600円で楽しめる日本海の幻想ショー、富山を訪れる上級者の方にオススメです。乗って残そう日本海ひすいライン。