フォッサマグナの日本海側の始点でもある糸魚川市は、日本の電力周波数が50Hzと60Hzに分かれる境界点でもあります。糸魚川中心部より富山寄りの一部地域は、新潟県内であるにもかかわらず北陸電力の電気供給エリアとなっており、JRも緑字の東日本ではなく青字の西日本エリアとなっています。そのため何かと富山エリアと人的交流が多い地域でもあり、買い物や通勤で越境する方も多く見られます。

そんな富山県民にとって最も親しみがある「新潟」である糸魚川駅を見学してきましたが、駅と大糸線そのものが鉄道のミュージアムになっていることがわかりました。


こちらは日本海側の、通称「日本海口」。コンパクトな駅舎となっています。日本海口というネーミングとそのフラッグもセンスいいです。

「日本海口」背にした風景です。この道を5分歩くと、そこは日本海。連なるアーケードがこの地の冬の厳しさを物語っています。

「日本海口」側待合室には、電車とバスの時刻を表示した大きなモニターが。これは、観光客にも優しいサービスです。


駅ナカには、開業日イベントのポスターが。この日は開業12日前でしたが、富山の新三駅でも、これだけのイベントを告知している駅は皆無でした。開業に対しての地元の大きな期待を感じさせます。

こちらは、みんなからプラレールの「寄付」を募り、それをつなげて新幹線を走らせるという企画。早くも、鉄道マニアが喜びそうな風景を発見です。


 


工事途中の新幹線改札。お隣にはセブンイレブンが開業予定。これも何かと便利です。

こちらは、反対側「アルプス口」からの全景。レンガ造りのオブジェの向こうに気動車らしきものがあります。

キハ52待合室とありますが、中には本物のキハがあります。それも、展示されているのではありません。

 

なんと、実際の待合室として利用されているのです。懐かしいキハ52で時間を過ごした後、最新のE7系に乗り込む。鉄道マニアとっては至福の時間です。この部分に、糸魚川駅が他の北陸新幹線の新駅とは異なった独自のポジションを目指していることが垣間見えます。

糸魚川駅は、最速タイプのかがやきはすべて通過してしまうダイヤを享受させられることとなってしまいました。さらには、同じ上越地区の中心都市である上越市に開業する上越妙高駅の方に話題が集中している現実もあります。(後日談、3月14日の開業日に北信越地域の日本テレビ系の各局で放映された特番では、現地中継は上越妙高駅からのものでした。)これでは、利用客がいない本当の「通過駅」となってしまう可能性があります。

そこで、糸魚川駅では、かつてあったレンガ造りの機関車庫をシンボルに、そこにキハ52と大糸線を結びつけた「鉄道観光」を前面に押し出しました。最近は、さいたま市にある「てつはく」こと鉄道博物館が人気ですが、糸魚川駅は新幹線の改札を降りたら現実の「キハ」を体験できる「てつはく」を目指したのです。

                    駅構内にもレンガ車庫をモチーフにしたメッセージボードが。



この日は、実際に大糸線にも乗ってみましたが、険しい地形が逆に美しさを感じさせてくれ、さながら観光列車に乗っている気分でした。

車窓から、フォッサマグナの上を流れる雪景色の姫川。

 
 並行する国道は、その険しい地形のため、シェード区間が続く。

さらに上流となる、終点南小谷駅横の姫川。

  
萌えキャラに飾られた大糸線の車両。大糸線沿線は、この季節でも雪深いことがよくわかります。

大糸線各駅に掲示されているポスターも北陸新幹線と一体したアピールをしています。

大糸線は、3月14日以降もJRが運行するため、青春18きっぷでも乗車が可能です。東京から新幹線で糸魚川に来て、帰りは大糸線で戻る周遊コースが面白いかもしれません。特に、ゴールデンウィーク期間中の大糸線は、遅く来る春が広がり本当に美しい風景が堪能できるので、富山からの帰りに大糸線でゆっくり首都圏に戻るのも面白いです。

とやどこ、今回は、お隣糸魚川のスピンオフでした。