3日間晴天に恵まれ、見事に「風封じ」に成功した2016 おわら風の盆。
とやどこ管理人は、おそらく今までほとんどの方が経験したことがないであろう、風の盆直後の9月4日の旧町を散策するため、八尾の町にやって来ました。
降り立ったのは、ほんの5時間ほど前まで送りおわらが舞われていた越中八尾駅ホーム。
数時間前の喧騒とは対照的に、休日の午前中の静寂に包まれています。
しかし、待合室には、未だ夢から醒めぬであろう観光客の皆さんが、富山方面への列車を待っていらっしゃいました。
八尾駅前も、普段の静けさに。今朝までの喧騒が嘘のようです。
しかし、まだお昼前なのに、かなり暑い。
迷わず、駅前に留まっていた循環バスに乗り込みます。
この循環バス、なかなか良くて、井田川沿いの素晴らしい景色が楽しめました。
この後、諏訪町最寄りの上新町でバスを降りたのですが、バスであってもそれなり乗車時間でした。
おわらの期間中は、この距離を皆さん八尾駅から徒歩移動されているわけですから、本当におわら観光というのは体力を使うことがわかります。
バスを降りて、路地を抜けると、
そこに現れたのは、日常の光景を取り戻した諏訪町の姿。期間中町を照らしたぼんぼりも、既にありません。
この3日間で、全国にある公民館の中で、一番人を集めたであろう公民館も眠りについています。
風の盆の中でも一番のプレミアムシート、八尾郵便局裏のベンチも空席有り。
また来年。
町中にも、日々の生活の風景が。
去り行く夏。
お隣上新町では、ぼんぼりの撤去作業が。
風情がある町には必ずあるお味噌屋さんも、上新町にはあります。
今年も、相当盛況だったようですね。
店頭には、心温まるメッセージ。
当然のように、この日は町内のほとんどのお店が閉店でした。
おわら風の盆、もう一つのプレミアムシート、おたや階段。階段として本来の役目を再開しました。それにしても、昼間見ると本当に急な階段なんですね。
おたや階段前の「踊り場」。ここも昼間見ると、そんなに広い場所でないことがわかります。
おたや階段の鏡町からは、期間中、通行禁止となる井田川沿いの小路を抜けて、八尾駅がある福島へと向かいます。
小路から見下ろす井田川はなかなかの絶景。おわら風の盆の期間中では楽しめない光景です。と、言うのも、
この小路と大通りを繋ぐ階段のほとんどがこのように急な角度のため、特に暗い夜に足を踏み外すと、惨事になることが必至だからです。事実、昨年、同じような神社の境内に繋がる階段で観光客の方が足を踏み外して重体になられたという事故が発生しています。
そもそも、ここかは狼ですら命を落とす狼地獄ですから。
夜、井田川の向こうから旧町が幻想的に光って見える仕掛けが、こちらライトアップ用の照明。ここまでくると、八尾の町全体がテーマパークのようです。
さらに階段を登り下を見下ろすと、この落差じゃ狼も生還できないよな、と妙に納得。
井田川沿いの小路下に気になる建物を発見しました。
その大きさゆえ、当初は料亭の跡地かと思いましたが、「末広屋」とは当地で有名な呉服屋の屋号らしいので、もしかしたら染物などをしていた建物なのでしょうか。いずれにせよ、八尾という町が盛況だったことがよくわかる建物です。
小路を抜けて下新町に出ると、「糀」と「塩小売所」のホーロー看板が。
諏訪町から下新町まではずっとなだらかな下り坂続いているので、歩くのはそこまで苦しくはありません。当日なるべく体力を消耗しない作戦としては、シャトルバスで東新町あたりまで行き、坂を下るように諏訪町、鏡町、下新町、天満町と移動して、最後に福島の公民館の2Fでやっているおわらを見た後、JRで帰路につくというのが王道かもしれません。
福島と天満町とを結ぶ橋の上から井田川を眺めます。本来なら、すぐ先には、同じく福島と下新町とを結ぶ十三石橋があるはずなのですが、今年は工事中で通行止めに。結果、JRの徒歩組は新しい橋を渡るために1km近く迂回することになったはず。
何れにせよ、民泊組以外がおわらを楽しむために最も必要なのは、歩き続けることに耐えられる体力。
とか言いながら、とやどこ管理人自身も、ここまで歩いて、結構体力を消耗しました。
八尾散策の最後は、福島地区でお馴染みの2Fをステージとして利用している公民館。こちらでも、男衆のみなさんが後片付け中でした。
(c)KNB
期間中はこんな感じになっています。
風の盆が終了してからまだ半日も経っていない八尾の町を歩いて感じたことは、数時間前の喧騒が信じられないくらいの日常性が町のあちこちにあったことでした。その姿は早くも362日後のおわらに向けて、その力を溜め込んでいるかのようにも見えます。
秋本番を迎える八尾の町の散策、風の盆のために真摯に日々の生活を送る八尾の方々の日常が感じとれます。そして、人混みを気にせず自分だけのお気に入り旧町のスポットが見つかりますよ。